【EBM】EBMとエビデンス
迷子になった。
Evidence-based medicine、日本語は根拠に基づく医療。
信頼できる情報をもとに、目の前の患者さんに最適な治療をすること。
おじさんの言うEBMは、目の前の患者さんは想定していない。
ということは、EBMとは言えないかもしれない。
EBMはエビデンスと誤解されているが、少し違う、ってやつか。
ということは、「医療」をどう解釈するかが問題だ。
解釈する、の主語は患者さんであるし、その家族でもあるし、また医療従事者も、だ。
*
おじさんから聞いてSHEPで高齢者高血圧を降圧剤でコントロールすることの意義を確認した。
その時見つけた
循環器トライアルデータベースを少し見てみた。
◆PROGRESS(2001)
一過性脳虚血発作あるいは脳卒中の既往歴のある患者において、ACE阻害薬(ペリンドプリル)単独あるいは利尿薬(インダパミド)追加が、脳卒中を予防できるかどうかを検討
・高血圧患者、非高血圧患者どちらもACE阻害・利尿剤併用群において高い降圧度を得て、脳卒中を予防した。
・ACE阻害剤単独では脳卒中発症リスクを下げなかったが、ACE阻害剤・利尿剤併用で脳卒中発症リスクを有意に下げた。
⇒ACE阻害剤単独よりも、ACE阻害剤・利尿剤併用の有用性
◆ALLHAT(2002)
冠動脈心疾患の危険因子を持つ高血圧患者を対象に、Ca拮抗薬アムロジピン、ACE阻害剤リシノプリルによる降圧療法が利尿剤クロルタリドンによる治療よりも冠動脈心疾患および心血管疾患を抑制するか検討
・一次エンドポイントの発症率に、治療群間の差はなかった。
⇒サイアザイド系利尿薬のほうが1つ以上の主要な心血管疾患の予防効果に優れ、経済的である。利尿剤は降圧治療の第一選択薬とするべきである。
*循環器トライアルデータベースのコメント:「利尿剤に勝る降圧薬はいまだなし」を決定づけることになろう。血圧調整の容易さ、忍容性の高さからCa拮抗薬にやや有利な内容といえよう。ハイリスク高血圧例では、利尿剤とCa拮抗薬を第一選択とし、ACE阻害剤はむしろ利尿剤に追加して使うべきであることを示唆している。
◆ACCOMPLISH(2008)
高リスク高血圧患者において、サイアザイド系利尿剤ヒドロクロロチアジド+ACE阻害剤ベナゼプリル併用療法 vs Ca拮抗薬アムロジピン+ACE阻害剤ベナゼプリル併用療法どちらが優れているか検討
・一次エンドポイントである心血管死、心血管イベントの初発を、Ca拮抗薬アムロジピン併用群で有意に抑制した
・ただし、利尿剤が効果を発揮しにくい腎機能低下患者が両群に含まれていたこと、ループ系利尿剤の使用が許されていた点について注意が必要。
⇒高リスク高血圧患者の心血管イベント抑制効果において、ACE阻害剤との併用ではサイアザイド系利尿薬よりもCa拮抗薬のほうが効果が高い。
ARBは??
ARBはどうなん??
たくさん処方されているARBは??
ACE阻害剤やCa拮抗薬と同等、劣らない、は見つけられたけど、優れている点は見つからなかった。(それはつまり悪いわけではないんだけど!あえて選択する理由にはならないのでは!)
「製薬メーカーの努力でしょうねえ」
そうか。社会とはそういうものだからね。
なんかがっかりだ。
きっと論文において「いいこと見つけた」と思ったら製薬メーカーがばんばんスポットライトをあてるはずだから、自分で読み進めて発見されることは製薬メーカーがスポットライトを当てたくなかった「都合の悪いこと」だけなんじゃないだろうか。
それは、私が論文を読むことで医療は前進するといえるのだろうか。
わからなくなってしまった。
わからなくなってしまったので、EBMワークショップに参加してみた。