【読書録】武器としての決断思考 著:瀧本哲史
瀧本さん。ご冥福をお祈り申し上げます。
お名前を見て、昔読んで印象的だった"武器としての決断思考"の著者のかただとわかった。武器の点検の意味もありつつ瀧本さんへの感謝のために読み返した。
- 内容要点まとめ
経済成長も成熟し資本主義もそろそろ危ないんじゃないかというこの今の時代、昔のやりかたが通用しないので、普段の生活に役立つ実学:リベラルアーツ(人間を自由にするための学問)を武器として身につける必要があり、その武器のひとつとして自分の人生を自分で考え、探し、選び取るための意思決定の思考方法を授けてくださる本です。
それはディベート思考ともいえ、流れは以下の通り。
1.論題を決める
2.メリットとデメリットを挙げる
3.挙げたメリット・デメリットに対して反論をする
4.どちらの主張が正しいか判定する
1.論題を決める
具体的な行動をとるべきか、否か。が設定しやすい。
問題が漠然としているときは、リンクマップを活用し問題を小分けにして考える。
2.メリットとデメリットを挙げる
メリットがメリットとして成立する条件3つを満たしているかチェックする。
メリットの3条件
①内因性(なんらかの問題があること)
②重要性(その問題が深刻であること)
③解決性(問題がその行動によって解決すること)
デメリットの3条件
①発生過程(論題の行動を取ったときに、新たな問題が発生する過程)
②深刻性(その問題が深刻であること)
③固有性(現状ではそのような問題が生じていない)
3.反論をする
メリット・デメリットそれぞれの3条件に対して行う。
MECE(モレ・ダブリなく)を意識する。
主張と根拠の間にある推論(演繹・帰納・因果関係)に着目する。
4.どちらの主張が正しいか判定する
「正しい主張」の3条件
①主張に根拠がある
②根拠が反論にさらされている
③根拠が反論に耐えた
判定は「質×量×確率」で考える
- メモ
*実学には「知識・判断・行動」の三段階が存在し、これがセットになって初めて価値がでる。
*判断はゆがみやすい
1.慣れていることを重視してしまう。過去を重く、未来を軽く見積もってしまう。
2.限られた情報、枠組みで考えてしまう
アンカリング:認知バイアスの一種で、先に与える情報(アンカー)が判断をゆがめ、判断がアンカーに近づく心理学現象のこと。
3.サンクコスト=それまでかかったコストを過大評価していまう
*メリットの3条件における解決性は、ダマされないためにしっかりと検証する必要がある。
*デメリットにおいて機会費用も忘れずに考慮すること。機械費用とは、その行動をとらなければ実現できるはずだったことができなくなってしまうこと。
*論破することではなく、第三者を納得させることが目的。
*どういった思考を経てその結論を導き出したかが重要。まちがっていたら過程におけるどこが間違っていたかを確認し、修正すればいい。ブレてもOK。
- 雑感
私の武器は知らぬ間にさびついていた。
メリットとデメリットを挙げて比較するくらいは日常的にできている。メリット・デメリットが成立する条件やそれぞれに対してツッコミを入れることは習慣化できていない。みんなやってるんすか、すごいっすね。
習慣化できていないといざという時結局ゆがんだ主観で判断してしまう。
サンクコストとかめちゃくちゃ過大評価するタイプ。株で損切りできない。危ない。落ち着け、ゼロベース、ゼロベース。
思考のクセのようなものがあって、私は他人のためや自己成長のためならば自分が被るデメリットを過小評価し受け入れてしまう傾向があると思う。からっぽの自分がばれないよう他人から評価されるために、自己犠牲を惜しまないタイプの人間だ。だからそういう時に客観的に考えられるように、意思決定の判断思考を日常のものとしてとりいれたい。
MECEや因果関係など、ほかの本で深く知ったワードが出てくるとうれしい。以前読んだときは意識しなかった単語で素通りしていたが、とらえ方が変わった。本を読み返すことも有意義だな。
まずは「私はスポーツジムに通うべきか、否か?」について自分の中でディベート大会する。