ちいさないっぽ

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【医薬品勉強会忘備録】グーフィス®︎錠

→ポイントは胆汁酸!!

新しい慢性便秘症治療薬、グーフィス®︎(エロビキシバット水和物錠)。

胆汁酸トランスポーター阻害剤という新しいその作用機序を中心にまとめる!!

 
作用機序

EAファーマ株式会社資料より
回腸末端部の上皮細胞に発現している胆汁酸トランスポーター(IBAT)を阻害し、胆汁酸の再吸収を抑制することで、大腸管腔内に流入する胆汁酸の量を増加させる。
なぜ胆汁酸が大腸内に増えると排便が促進されるのかというと、
胆汁酸は大腸管腔内に水分を分泌させ、さらに消化管運動を促進させるため、胆汁酸が増えることで便秘治療効果が発現する。

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胆汁酸についてもう少し詳しく


https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssmn/47/1/47_41/_pdfを参考
・胆汁酸は胆汁の主成分である。胆汁酸の種類は5種類。
・肝臓でコレステロールから合成される。
・肝臓(作って)→胆嚢(ためて)・胆管(通り道)→十二指腸(腸内細菌により代謝をうけたり、脂質の吸収に使われたり)→(門脈から再吸収)→肝臓に戻る
腸管循環する。
・小腸において脂肪酸やモノグリセリド とミセルを形成し、食物からの脂質吸収をしやすくする。
・肝臓での胆汁酸の合成量は 1 日約 0.5 g であるが,この腸肝循環により 2~4 g の胆汁酸プールを 1 日に 6~9 回程度回転させることが可能とされている。


おまけ★腸管循環、胆汁酸といえばウルソ®️


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https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/136/5/136_5_265/_pdf/-char/jaから画像引用

ウルソの中心的な薬理作用は 2 つ。利胆作用と置換効果だ。

まずは利胆作用。胆汁の排泄が低下すると、肝内外に胆汁酸が蓄積する。すると、胆汁酸が細胞障害性を発現し、さらなる肝機能の悪化を招いてしまう。ここでウルソを投与すると、胆汁酸を毛細胆管に輸送するトランスポーターの発現を促し、胆汁量を増加させることで胆汁の鬱滞を改善する。

次に、置換効果。胆汁酸による細胞の障害性は、胆汁酸の親水性・疎水性の強度に起因しており、疎水性が高い胆汁酸ほど細胞障害性が高い。(中略)つまり、ウルソを投与することで、細胞障害性の高い胆汁酸が細胞障害性のないウルソに置き換わり、肝障害が軽減する。

薬局で使える実践薬学 p.76-77 から引用

 

薬局で使える実践薬学

 

話は戻ってグーフィスの有効性

 

国内第3相試験結果参考
方法:2週間の観察期間の後、1日1回朝食前にグーフィス10mgまたはプラセボを14日間経口投与した。
主要評価項目:投与期間第1週における自発排便回数の観察期間第2週からの変化量
結果:プラセボ軍(n=63)1.73 
グーフィス群(n=67)6.40
⇒p=0.0001で有意差あり


おまけ資料★安全性について

国内長期投与試験参考
血清LDLコレステロール濃度の平均値は、グーフィス投与後に低い値を示した。
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基本情報(添付文書参照)

 

・効能効果
慢性便秘症


・用法及び用量
通常、成人に 10mg を 1 日 1 回食前に経口投与する。なと、症状により適宜増減するが、最高用量は 1 日 15mg とする。
*ポイント*
他の下剤は寝る前に使用することが多いが、胆汁酸は食後に出るためその前に服用することでしっかり効果が期待できる。


・使用上の注意(一部抜粋)
​肝機能障害などにより胆汁酸分泌が低下している患者では、効果が期待できない場合がある。
相互作用-併用注意:胆汁酸製剤等(ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸)
これらの薬剤の作用が減弱するおそれがある。
本剤の胆汁酸トランスポーター阻害作用により、胆汁酸製剤の再吸収が阻害されるおそれがある。


・副作用
消化器症状:腹痛(19.0%)、下痢(15.7%)
*補足*
腹痛の副作用は、腸が蠕動運動したことによるもの(動いただけ)がほとんど。また発現は初期だけだそう。


雑感

初めは排便と胆汁酸に何の関係が??と思ったが、大腸において水分分泌促進&蠕動運動促進の作用があるんだな。
便に捨てる胆汁酸が増えるから、減った胆汁酸を増やすためにコレステロールを消費して胆汁酸を新たに合成するようだ。
肝臓への負担は今のところ報告がないらしいが、血中コレステロールも下がる可能性があるのはメリットとなりうるかも。

ちなみに私はコーヒーを飲むと 30 分後にうんちしたくなります。