ちいさないっぽ

心にうつりゆくよしなし事を、書くだけ。責任は負わない。

【薬局の疑問】産科でバイアスピリン®

「ふいく症です。」

 

あの時感じた無力感、己の無知、聴力の悪さは忘れてはならない。

 

不育症とは

妊娠はするものの繰り返す流産・死産によって子どもを得られない状態。

学会でも何回繰り返すと不育症と定義するかは決まっていない。

しかし、一般的には2回連続した流産・死産があれば不育症と診断し、原因の探索を行う。

原因について

・染色体異常

抗リン脂質抗体症候群

・子宮奇形

・凝固因子異常

などがあるが、検査をしても原因が判明しないケースも多い。

 

抗リン脂質抗体症候群とは

抗リン脂質抗体は、ATPPの延長をもたらす。

臨床的には、凝固亢進し、血栓症をきたす。機序は不明。

 

抗リン脂質抗体症候群の標準的な不育症治療として”アスピリン・ヘパリン併用療法”がある。

ただしいまだに不明点も多い症候群なので、治療法は確立されていない。

 

アスピリン・ヘパリン併用療法

ヘパリン:1日2回皮下注射。妊娠初期~分娩直前まで投与

低用量アスピリン:1日1回内服。妊娠初期~医師の指示通り

(低用量バイアスピリンについて、海外では分娩直前まで使うケースもある。添付文書上は”出産予定日12週以内の妊婦には投与しないこと”の記載あり。医師の判断に従う。)

(ヘパリンの注射は決して安くないので、金銭的にアスピリン単独になる場合もあるよう)

 

わからないことが多い中でも、出産の確率が上がる治療法があることは救いになる。

薬剤師としては、出産予定日を確認し、お薬手帳を持ち歩くことをすすめたいです。

 

参考

不育症研究-不育症治療に関する再評価と新たなる治療法の開発に関する研究-

難病情報センター | 原発性抗リン脂質抗体症候群(指定難病48)

 http://www.jsog.or.jp/PDF/60/6012-505.pdf

バイアスピリン®錠100㎎ 添付文書