【医薬品勉強会忘備録】インチュニブ®
【背景1:AD/HD(注意欠陥/多動性障害)について】
◆定義
年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/または衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。
◆主症状
・不注意
・多動性
・衝動性
◆診断
医師が行う。
症状基準、発症年齢、症状がみられる場所、社会的に支障をきたしている明確な証拠があるか、その他の精神疾患の可能性を除外できるかなどを検討したのちに診断される。
◆治療
心理社会的治療から開始すること。
NO、薬物治療ありきの治療姿勢!
・心理社会的治療とは
①環境調整②親への心理社会的治療③子どもへの心理社会的治療④学校及び他の専門機関との連携、という4領域をバランスよく組み合わせて実施する。
★周囲の理解も大切
・薬物療法
心理社会的治療が効果不十分な際に、また状態を総合的に評価したうえで導入を検討。
適応のある薬剤
アトモキセチン(先発:ストラテラ®)
グアンファシン徐放錠(先発:インチュニブ®)
【背景2:既存治療薬について】
・作用機序
・特徴
乱用防止のために規制がある。コンサータ錠適正流通管理委員会に登録のある医師・薬局のみが扱える。譲渡もできない。処方日数制限30日。多剤と比べて効果発現が早い。
登録についてはこちら
・使用上の注意
長時間作用型の徐放製剤。外皮が糞便中にでることがある。
12時間以上作用するので、不眠防止のために午前中の早い時間に服用する。
・薬物治療開始
18㎎から開始し、1週間以上の間隔をあけて9㎎または18㎎ずつ増量する。
1か月以上休薬した場合、18㎎から始める。
土日や休暇の休薬については医師と相談。
・薬物治療終結
診断値の改善や、患者と共有していた目標の症状改善などを評価し、医師が総合的に判断して終結を検討する。
・副作用(80.6%と高頻度)
食欲減退、不眠、体重減少
⇒成長期の子どもにとっては酷な副作用
【インチュニブ®(グアンファシン)基本情報】
◆効能・効果
小児期(6歳~18歳未満)における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
※成人に適応はなし
◆用法・用量
体重50㎏未満:1㎎から開始、その後体重に合わせて維持量~最高用量まで増量
体重50㎏以上:2mgから開始、その後体重に合わせて維持量~最高用量まで増量
1日1回。夜がおすすめ。
◆作用機序
選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬。
シグナル伝達を”増強"させる。(完全にはわかっていない)
◆副作用
重大な副作用
・低血圧
・徐脈
様子をみる副作用
・傾眠(57.5%)
・血圧低下(15.4%)
・頭痛(12.2%)
⇒コンサータとの違い
◆投与開始と休薬について
・効果発現まで5日程度かかる
⇒コンサータより遅い
・急に中止すると血圧上昇および頻脈が現れることがあるため、漸減する。
・漸減に1~3週間ほど要するため、短期的な休薬は行わない。
⇒コンサータとの違い。土日は休薬、というような使い方はしないこと。
【まとめ】
効果発現時間と副作用に大きな違いのある既存薬とインチュニブ®。
患者さんに合った治療法を選択してもらうために、特徴を十分に理解してもらう必要がある。