ちいさないっぽ

心にうつりゆくよしなし事を、書くだけ。責任は負わない。

【医療事故】抗がん剤テモダールを39日連続投与され死亡

悲しいことが起きた。

起きてはならないことが起きた。

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骨折で入院した患者さん。

他院で脳腫瘍の治療を受けており、持参薬に抗がん剤『テモダール』が含まれていた。

入院した病院の整形外科の医師が入院期間中服用する分のテモダールをなんの薬かわからないまま処方。薬剤師も注意が必要だとはわかっていたがスルーして調剤。

過量投与となり白血球減少、多臓器不全となり死亡。

■なんの薬かわからないまま調剤する薬剤師怖い

たしかに関わったことのない薬は名前見ただけじゃわからないかもしれない。

でも詳しく知らないなら、詳しく知ってから調剤するんだよ。

薬剤師は最後の砦だからね。

まずなんの薬かわかった時点で、抗がん剤とわかった時点で、その治療している主治医に確認取らなきゃと思うんじゃなかろうか。

あ、じゃあ入院期間中の抗がん剤も整形外科の先生に代わりに出しておいてもらいましょうねーとはならないんじゃ。

そのまま続けていいかなんて専門の主治医にしかわからない。

 

用法用量も確認するよね。

テモダールの用法に限って見ると、

初発の場合:①放射線照射と併用にて1日1回42日間経口投与→4週休薬

②その後、テモダール単独で1日1回連日5日間経口投与し、23日間休薬する。この28日間を1クールとする。

再発の場合:テモダールを1日1回連日5日間経口投与し、23日間休薬する。この28日間を1クールとする。

 

添付文書には用法用量に関連する使用上の注意もずらりと書かれている。

どれくらいの頻度で検査をして、好中球数や血小板数を見て基準を満たしているか確認して、用量や継続の判断をするようにと。

放射線照射してないと5日間より多い連続投与という使い方はしない。

用法が違っていたら見逃してはいけない。というかやっぱり正しい用法で処方されていたからといってそのまま通していい薬ではないと思う。

テモダールは毒薬。保管場所が違うからそれは気づくじゃん。

毒薬って、ちゃんと診れる医師のもとで使ってねってものじゃん。気づくじゃん。

やっぱり主治医に確認とろうと思うじゃん。

 

実際病院での詳しいことはわからないから、責め立てる資格はないのかもしれないけど。

おかしいと気づくきっかけはたくさんあったんじゃないかと思ってしまう。

残念でならない。

 

■なんの薬かわからないまま処方する医師怖い

一部の薬を除いて、医師はなんでも処方できちゃう。全然専門じゃない分野の薬も。これってすごい。

他の病院で飲んでたのね、じゃあそれも出しとくね。って。

処方するからには、責任もって診れないといけない。診られないなら専門の主治医に処方してもらうべき。

特に今回のような十分な経験・知識のある医師のもとで使うべき抗がん剤を、そうでない医師が処方できてしまうのは問題だ。

加えて、患者さんやそのご親族は薬のことどれくらい把握していたのかも気になるところ。

普段扱っている薬というものが命にかかわるものであると、改めて悲しいほど思い知らされた。

自分も関係ないと思ってはいけない。業務を怠ってはいけない。多忙のせいにしておろそかにしてはいけない。

もしくは、多忙でも誤らないような仕組みを作らないといけない。

当該病院も、医療関係者も重く受け止めるべき過誤だ。

患者さんご家族にはお悔やみ申し上げます。

 

最後にテモダールの添付文書を一部引用。 

警告

 1.

本剤による治療は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

 

2.

本剤と放射線照射を併用する場合に、重篤な副作用や放射線照射による合併症が発現する可能性があるため、放射線照射とがん化学療法の併用治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで実施すること。

 

3.

本剤の投与後にニューモシスチス肺炎が発生することがあるため、適切な措置の実施を考慮すること(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」及び【臨床成績】の項参照)。

禁忌(次の患者には投与しないこと)

 1.

本剤又はダカルバジンに対し過敏症の既往歴のある患者

 

2.

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照)

効能又は効果

性神経膠腫

 

用法及び用量 

1. 初発の場合

放射線照射との併用にて、通常、成人ではテモゾロミドとして1回75mg/m2(体表面積)を1日1回連日42日間、経口投与し、4週間休薬する。

その後、本剤単独にて、テモゾロミドとして1回150mg/m2を1日1回連日5日間、経口投与し、23日間休薬する。この28日を1クールとし、次クールでは1回200mg/m2に増量することができる。

2. 再発の場合

通常、成人ではテモゾロミドとして1回150mg/m2(体表面積)を1日1回連日5日間、経口投与し、23日間休薬する。この28日を1クールとし、次クールで1回200mg/m2に増量することができる。

 

用法及び用量に関連する使用上の注意

 1. 一般的注意

(1)

本剤は空腹時に投与することが望ましい(【薬物動態】「血中濃度」食事の影響の項参照)。

(2)

本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用療法に関して、有効性及び安全性は確立していない。

2. 初発の場合

放射線照射との併用時

(1)

本剤の投与開始にあたっては次の条件をすべて満たすこと。

 1)

好中球数が1,500/mm3以上

 2)

血小板数が100,000/mm3以上

(2)

少なくとも週1回の頻度で血液検査を実施し、本剤継続の可否を判断すること。以下の副作用発現時は投与量の増減を行わず、下記の基準に基づき休薬又は中止すること。

(3)

放射線照射の中断により放射線治療期間が延長した場合、(2)の継続基準の条件を満たしたときに限り、42日間連日経口投与を最長49日まで延長することができる。

 

放射線照射後の単剤投与時

(1)

本剤の投与開始にあたっては次の条件をすべて満たすこと。

 1)

好中球数が1,500/mm3以上

 2)

血小板数が100,000/mm3以上

(2)

第1クールの期間中、次の条件をすべて満たした場合に限り、第2クールで投与量を200mg/m2/日に増量すること。なお、第2クール開始時に増量できなかった場合、それ以後のクールでは増量しないこと。

1)

好中球数の最低値が1,500/mm3以上

2)

血小板数の最低値が100,000/mm3以上

3)

脱毛、悪心、嘔吐を除く非血液学的な副作用の程度がGrade 2(中等度)以下

 (3)

各クールの期間中、血液検査を適切な時期に実施し、好中球数及び血小板数の最低値に基づいて次クールでの用量調整の必要性について判断すること。なお、好中球数及び血小板数が最低値に達するのは本剤投与後22日以降と比較的遅いことが知られている。また、各クールの開始にあたっては、適切な時期に血液検査を実施し、好中球数が1,500/mm3以上、血小板数が100,000/mm3以上になるまで投与を開始しないこと。 

(4)

各クール開始にあたっては、直前のクールにおいて次の場合には本剤を50mg/m2減量とすること。

 1)

好中球数の最低値が1,000/mm3未満

2)

血小板数の最低値が50,000/mm3未満 

3)

脱毛、悪心、嘔吐を除くGrade 3の非血液学的な副作用が出現した場合

 (5)

次の場合は本剤の投与を中止すること。

 1)

脱毛、悪心、嘔吐を除くGrade 4の非血液学的な副作用が出現した場合

2)

100mg/m2/日未満に減量が必要となった場合 

3)

脱毛、悪心、嘔吐を除く、減量後に直前のクールと同じGrade 3の非血液学的な副作用が再度出現した場合

 

3. 再発の場合 

(1)

本剤の投与開始にあたっては次の条件をすべて満たすこと。

 1)

好中球数が1,500/mm3以上 

2)

血小板数が100,000/mm3以上

 (2)

第1クール以後、次の条件をすべて満たした場合に限り、次クールの投与量を200mg/m2/日に増量することができる。

 1)

好中球数の最低値が1,500/mm3以上

2)

血小板数の最低値が100,000/mm3以上

 (3)

各クールの期間中、血液検査を適切な時期に実施し、好中球数及び血小板数の最低値に基づいて次クールでの用量調整の必要性について判断すること。なお、好中球数及び血小板数が最低値に達するのは本剤投与後22日以降と比較的遅いことが知られている。また、各クールの開始にあたっては、適切な時期に血液検査を実施し、好中球数が1,500/mm3以上、血小板数が100,000/mm3以上になるまで投与を開始しないこと。 

(4)

各クール開始にあたっては、直前のクールにおいて次の場合には本剤を50mg/m2減量とすること。

 1)

好中球数の最低値が1,000/mm3未満

2)

血小板数の最低値が50,000/mm3未満

3)

脱毛、悪心、嘔吐を除くGrade 3の非血液学的な副作用が出現した場合

 (5)

100mg/m2/日未満に減量が必要となった場合は本剤の投与を中止すること。

 

 

 

テモダールカプセル20mg/テモダールカプセル100mg