【薬局の疑問】腎不全患者さんの人工透析(特に血液透析)ってなにをするの?後編
前回の記事が長くなってしまい、途中で力尽きた。
もうちょっと書いておきたいことがあるので、後編。
◆透析患者さんの薬(臨時処方こそ注意)
❏風邪薬
むやみに抗菌薬やNSAIDsは処方されない印象。
PL配合顆粒は減量規定がなく使いやすい。
❏抗菌薬・抗ウイルス薬
用量や服用感覚が腎機能正常者と異なるものが多いので注意が必要。
添付文書等で確認すること。
例を挙げる。
・セフカペンピボキシル(フロモックス®)
100㎎分1、透析日は透析後投与
・アモキシシリン(サワシリン®/パセトシン®)
1回250㎎~500㎎を24時間ごと、透析日は透析後投与
1回200㎎を1日1回(透析性なし)
・レボフロキサシン(クラビット®)
初日500㎎を1日1回、3日目以降250㎎を2日に1回投与する
・バラシクロビル(バルトレックス®)
帯状疱疹・単純疱疹で250㎎を24時間ごと、透析日は透析後に投与
❏鎮痛剤
NSAIDsはそろって腎障害があるので、なるべく使わない。
アセトアミノフェンで抑えられればいいけれど、痛み止めとしては少し心もとない。
他に代わりもないので、最小限の範囲で使用する。また無尿だともはや腎障害は問題になりにくい。
使用する場合は、減量はせず通常量で使用する。
300㎎(解熱)~600㎎(鎮痛)を毎食後または8時間ごと投与。
単回頓服は300㎎~1000㎎、8時間以上あけて、食後。
透析日は透析後。
トラマドール(トラマール®)
腎障害患者では半減期とAUCが健康成人の1.5~2倍に増加するため、最大量を50%(=200㎎)にする。
トラマドール徐放錠(ワントラム®)
禁忌(徐放剤で服用間隔を調整できないため)
❏抗アレルギー薬(花粉症など)
内服薬について、前回かゆみの項目でも一部挙げたが、用量や用法が通常と異なるものがある。注意するべきが
セチリジン・レボセチリジン(ジルテック®・ザイザル®)
禁忌(高い血中濃度が持続する可能性がある)
❏糖尿病治療薬
基礎疾患に糖尿病があると注射剤を使っている患者さんも多い。
しかしたまに、内服薬が新規で処方されることがある。
ここでは禁忌のものだけ挙げておく。
アマリール®、オイグルコン®などSU剤全般(低血糖のリスク)
メトグルコ®などビグアナイド系(乳酸アシドーシスを起こしやすい)
アクトス®(海外では常用量で使用可能)
ナテグリニド(スターシス®/ファスティック®)(低血糖のリスク)
◆プラスアルファ
・透析日・非透析日で変わる用法
透析をする日としない日とで状態が異なる。
非透析日のみ服用するという指示がある場合がある。
例えば、利尿剤や血圧の薬(とっても個人差があります)。
一包化している患者さんにはどうしたらいいか確認する。
非透析日の指示があるものだけヒートで渡したり。
分包紙に日付を印字し、それに合わせて一包化したり。
(例えば月・水・金透析で非透析日のみ利尿剤追加、水曜日お薬2週間分お渡し予定なら次の日の木曜から服用するとして、1・3・4・6・8・10・11・13番目に利尿剤を入れる。わかりやすいようにマーカーを引く。)
日付は印字せずに、透析日と非透析日で分けて作ったり。
(例えば2週間分お渡しなら、透析日は6日分、非透析日は8日分まとめて作る)
・入院
透析に通っているということは、基本は自宅で生活ができるくらいには状態が安定しているということ。そして何らかの基礎疾患によって腎機能が低下しているので、基礎疾患の状態がよくなければそちらの主治医のもとに入院してしばらく透析病院に来ないことがある。
・シャント肢
シャント肢とは?
腎臓の働き~透析療法とは? | 透析について考える | ~笑顔でいきいき~ 透析"新"ライフ から引用
年単位にわたって週に3回、腕の血管に針を刺して血液を抜く。結構太い針。
だからこの血管は重要。
ということで、それに耐えられる太い血管を作る。動脈と静脈を合わせる。これをシャントという。
貼付剤が「シャント肢に貼付」という指示で処方されることがある。
痛みがでたり腫れてしまうそうだ。
・皮膚の色
理由ははっきりわかっていないようだが、肌が黒くなりやすい。
透析では除ききれないなにかがあるのか・・・
1回あたりの透析に時間をかけると黒くなりにくいというのをきいたことがあるような。
知っておくと、失礼がないかもしれない。
・管理能力
高齢の方も多く、管理に不安がある患者さんも多い。
また透析のあとは結構ふらふらで、あんまり話を聞ける状態ではないことも。
ご家族に直接説明できたらいいだろうけど、難しいから変更点や注意点はお薬説明書に記載したりわかりやすく印をつけて、伝わるようにする。
以上です。
薬の用量については
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検査値がわからないのでそこに関してはあんまり深入りできないけれど。
なるべく薬が最適に使えるよう関与できることを模索したい。
*かかりつけの医師・薬剤師の指導を尊重してください