【おじさんに学ぶEBM】SHEP
「循環器のEBMなら、まずシェップでしょうねえ。」
シェップ?!なんですかそれ、メモっていいですか!?
「S、H、E、P、です」
わかりました!読んでみます!
JAMA. 1991;265(24):3255-3264. doi:10.1001/jama.1991.03460240051027
読めない!全部読めない!とりあえずabstractをば!
◆論文のPECO
【P】年齢は60歳以上、血圧は収縮期血圧160-219mmHgかつ拡張期血圧90mmHg未満
【E】利尿薬クロルタリドンまたはβ遮断薬アテノロールで降圧
【C】無治療
【O】一次アウトカム:脳卒中(致死的、非致死的合わせたトータル)
二次アウトカム:冠動脈疾患と心血管疾患の罹患率と死亡
◆試験デザイン
複数施設、ランダム化、二重盲検、プラセボ比較
◆対象患者
4736名(年齢60歳以上、収縮期血圧160-219mmHgかつ拡張期血圧90mmHg未満)
平均年齢72歳、女性57%、黒人14%、平均血圧収縮期170mmHg、拡張期77mmHg
⇒治療群2365名、プラセボ群2371名
◆治療法
step1ーdose1:クロルタリドン12.5㎎/日
ーdose2:クロルタリドン25mg/日
step2ーdose1:アテノロール25㎎/日
ーdose2:アテノロール50㎎/日
◆結果
追跡期間4.5年
5年平均血圧:治療群143/68mmHg、プラセボ群155/72mmHg
■一次アウトカム(脳卒中:致死性・非致死性すべて合わせたもの)
治療群5.2%、プラセボ群8.2%
⇒相対リスク0.64(p=0.003:有意差あり)
■二次アウトカム(冠状動脈死、心血管イベント、全死亡率)
・非致死性心筋梗塞及び冠状動脈死
⇒相対リスク0.73で治療群で減少
・心血管イベント
⇒相対リス0.68で治療群で減少
・全死亡率
⇒相対リスク0.87で治療群で減少
◆結論
60歳以上の高齢者において収縮期高血圧を治療薬で下げることで、脳卒中や心血管イベントをプラセボと比べて有意に減少させる。
◆まとめ
すごく便利なサイト見つけた。これ読めばええやん。
ここから降圧の時代が始まったんだな。
今はたくさん薬があるから、利尿薬で有意差ついちゃうのかって印象。
利尿剤は浮腫があるときに使って血圧下げる目的ではあんまり使わないと思っていた。
しかしかつて誰かから聞いた「本当は安い利尿剤で十分なんだ」という言葉がよぎる。
クロルタリドンはうろ覚えだけど、学生時代の授業(EBMの授業だったかも)で一度お目にかかったような。
いい薬のようなのになんで発売中止になっちゃったんだろう残念。って気持ちだけ覚えている。まだ考えが子どもだった私は納得ができなくて発売中止の理由が気になって気になってしょうがなかった。でも採算がとれないという大人の事情なんだ、よくわかんないけど。と思ってやっぱり残念。色濃く残る残念。
利尿剤で心血管イベント抑制できるから、SGLT2阻害薬も心血管イベント減らせるのかな。
血糖下げて細小血管障害を防ぎ、利尿作用で大血管障害を防げたら素敵なことだよね。