「ACCORD試験」を読んでみたいと思って。
2018.1.9 の日経メディカルより。
「血糖管理はHbA1cを見るだけでは不十分」
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201801/554321.html
”血糖トレンド”って興味深い。
血糖を平均値など点ではなく線でとらえて変動に着目する。
しっくりくるような気がします。血糖値の乱高下は体に負担がかかりそうなイメージ。
技術が進歩すると医学も進歩できる予感。
変動を監視するって、少し本の世界みたい。WatchMe。
そのうち血糖値に合わせてインスリンが分泌されそう。
違いますね。
日経メディカルに記載のある「ACCORD試験」てたまに見かけるような気がして。
糖尿病専門に衝撃の論文。2008年ってまだ自分高校生っていう衝撃。
どうにかこうにか読んでみた。
Effects of intensive glucose lowering in type 2 diabetes.
The Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes Study Group
PMID:18539917
論文のPECO
P atient :10,251名の2型糖尿病でHbA1c7.5%以上(平均8.1%)の下記の人
・心血管系疾患を持っている人(年齢40~79歳) または
・アテノローム性動脈硬化症、アルブミン尿、左心室肥大、もしくは2つ以上の心血管系疾患の危険因子(脂質異常症、高血圧症、喫煙、肥満)を持っている人(年齢55~79歳)
E xposure : 強化治療(目標HbA1c6.0%以下)
C omparison :標準治療(目標HbA1c7.0~7.9%)
O utcome :非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、心血管死のうち最初に発生したもの(=複合エンドポイント)
吟味するポイント
*論文を10分で読むためのワークシート - aheadmap ページ!を
参考にさせていただいています。
♦ランダム化されているか?
→されている。Methods に”randomly” の記載あり。
♦一次アウトカムは明確か?
→複合エンドポイントだが臨床研究において優先順位が高い指標であると判断。
♦真のアウトカムか?
→死亡や心血管イベントの発生を見ているので問題なし。
♦盲検化されているか?
→されていない(オープンラベル)
♦ランダム化は最終解析まで保持されているか?
→ITT解析されている。statistical analysis に”intention-to-treat" の記載あり。
♦結果を覆すほど脱落者がいるか?
→results より追跡率97.8%、0.5%は追跡不能、1.6%は同意撤回。
結果
♦一次アウトカムについて
→強化治療群 352例 vs 標準治療群 371例
(ハザード比0.9;95%[CI]0.78-1.04 P=0.16)
⇒2群間に有意差なし
♦二次アウトカムについて
・総死亡
→強化治療群 257例 vs 標準治療群 203例
(ハザード比1.22:95%[CI]1.02-1.46 P=0.04)
⇒強化治療群で有意に高い(!?)
・心血管死亡
→強化治療群 135例 vs 標準治療群 94例
(ハザード比1.35;95%[CI]1.04-1.76 P=0.02)
⇒強化治療群で有意に高い(!?)
・非致死性心筋梗塞
→強化治療群 186 例 vs 標準治療群 235例
(ハザード比0.76;95%[CI]0.62-0.92 P=0.004)
⇒強化治療群で有意に低い
・非致死性脳卒中
→強化治療群 67例 vs 標準治療 61例
(ハザード比1.06;95%[CI]0.75-1.50 P=0.74)
⇒2群間に有意差なし
感想。
HbA1cがまったく参考にならないわけではないけど、
これだけでは見えていない部分もあるので、この数値にこだわるばかりではいけないように思った。